ポータブルスキル②:現状把握と課題設定~成功への羅針盤と航路図~

第1回では変化の激しい現代においてキャリアを切り拓くための重要な武器となるポータブルスキルの概要と全体像について解説しました。今回は、9つのポータブルスキルの中でも特に重要な現状の把握と課題の設定に焦点を当てビジネスシーンにおける重要性や具体的な活用方法を掘り下げていきます。

現状の把握とは?~羅針盤となる正確な情報収集~
現状の把握とは現在の状況を正しく認識することです。ビジネスにおいては、市場の動向、競合の状況、自社の強みと弱み、顧客のニーズ等、様々な情報を収集し分析することで現状を客観的に理解することを意味します。これは、航海における羅針盤のようなもので進むべき方向を定めるための重要な基盤となります。
現状の把握に関連するビジネススキルは以下のとおりです。
情報収集力 | 必要な情報を効率的に収集する能力。インターネット検索、業界レポートの調査、アンケート調査、インタビュー等、様々な手法を駆使 |
分析力 | 収集した情報を整理し、分析する能力。データ分析、SWOT分析、PEST分析など、様々なフレームワークを活用 |
状況判断力 | 分析結果に基づいて現在の状況を的確に判断する能力。客観的なデータだけでなく、経験や知識も活用 |
ヒアリング力 | 関係者から必要な情報を聞き出す能力。顧客へのインタビュー、社内関係者への聞き取り調査などを通して、潜在的なニーズや課題を把握 |
現状の把握の重要性~誤った前提は失敗のもと~
現状の把握を怠ると誤った前提に基づいて行動してしまう可能性があります。例えば、市場のニーズを十分に理解せずに新商品を開発した場合、市場で受け入れられずに失敗する可能性があります。また、競合の動向を把握せずに戦略を立てた場合、競合に後れを取ってしまう可能性があります。
正確な現状認識は効果的な戦略立案、適切な意思決定、そして最終的な目標達成に不可欠なのです。
課題の設定とは?~進むべき道筋を明確にする~
課題の設定とは、現状把握を通して明らかになった問題点や改善点、達成すべき目標などを明確にすることです。単に問題点を指摘するだけでなく、「何を」「いつまでに」「どのように」解決するのかを具体的に落とし込むことが重要です。これは、航海における航路図のようなもので、目的地までの道筋を示します。
課題の設定に関連するビジネススキルは以下のとおりです。
問題発見力 | 現状と理想のギャップを認識し、問題点を発見する能力。データ分析や現場の声から潜在的な問題点を見つけ出すことも含まれる |
課題特定力 | 発見された問題点を分析し具体的な課題として特定する能力。「何が問題なのか」を明確に定義することで、解決策を検討するための土台を作る |
目標設定力 | 設定された課題を解決するための具体的な目標を設定する能力。SMARTの法則に基づいて、明確で達成可能な目標を設定することが重要 |
課題の設定の重要性~効果的な解決策への第一歩~
課題の設定を適切に行わないと、的外れな解決策を検討してしまう可能性があります。例えば、売上低下という問題に対して、原因を十分に分析せずに広告宣伝を強化するだけでは、根本的な解決には至らない可能性があります。
明確な課題設定は、効果的な解決策を見つけ出すための第一歩であり、目標達成への道筋を明確にするために不可欠なのです。
現状の把握と課題の設定の実践例
ここではより身近な例として、カレー作りを題材に現状の把握と課題の設定がどのように活用されるのかを見ていきましょう。
1.現状の把握:美味しいカレーを作るための情報収集
美味しいカレーを作るためには、まず現状を把握する必要があります。これは、どんなカレーを作りたいのか、どんな材料が手元にあるのか、といった情報を集めることから始まります。
作りたいカレーのイメージ(目標)
どんなカレーを作りたいのかを明確にします。例えば、「野菜たっぷりのヘルシーカレー」、「本格的なスパイスカレー」、「子供も喜ぶ甘口カレー」等、具体的なイメージを持つことが重要です。これが、ビジネスにおける「目標設定」に相当します。
材料の確認(リソースの把握)
冷蔵庫や食材庫にある材料を確認します。肉の種類(豚肉、鶏肉、牛肉)、野菜の種類(玉ねぎ、人参、じゃがいも)、カレールーの種類(甘口、中辛、辛口)、その他の調味料(スパイス、牛乳、ヨーグルトなど)を把握します。これは、ビジネスにおける「リソースの把握」に相当します。
レシピの調査(市場調査・情報収集)
インターネットや料理本でレシピを調べます。様々なレシピを比較検討することで、作りたいカレーに最適なレシピを見つけることができます。これは、ビジネスにおける「市場調査」や「情報収集」に相当します。
調理器具の確認(環境分析)
鍋、フライパン、包丁、まな板など、必要な調理器具が揃っているか確認します。これは、ビジネスにおける「環境分析」に相当します。
2.問題の抽出:美味しく作るための問題を見つける
現状の把握を通して、美味しいカレーを作るための問題が見えてきます。
材料不足
例えば、「人参が足りない」「カレールーが中辛しかない」といった材料不足が判明するかもしれません。これは、ビジネスにおける「リソース不足」という課題に相当します。
調理時間
「今日は時間がないので、短時間でできるレシピを選ぶ必要がある」という制約があるかもしれません。これは、ビジネスにおける「時間制約」という課題に相当します。
調理スキル
「本格的なスパイスカレーに挑戦したいが、スパイスの使い方がよく分からない」というスキル不足を感じるかもしれません。これは、ビジネスにおける「スキル不足」という課題に相当します。
味の好み
「家族は甘口が好きだが、自分は辛口が好きなので、どうすれば両方満足できるか」という好みの違いという課題があるかもしれません。これは、ビジネスにおける「顧客ニーズの多様性」という課題に相当します。
3.課題の設定:美味しいカレーを作るための課題を考える
問題が明確になったら、それらを解決するための具体的な方法を課題を検討します。
材料不足の場合
スーパーに人参を買いに行ったり、代用となる食材を探したりします。これは、ビジネスにおける「代替案の検討」に相当します。
調理時間がない場合
短時間でできるレシピを選んだり、電子レンジを活用したりします。これは、ビジネスにおける「効率化」や「時間管理」に相当します。
調理スキル不足の場合
レシピをよく読んだり、インターネットでスパイスの使い方を調べたりします。これは、ビジネスにおける「スキルアップ」や「研修」に相当します。
味の好みが違う場合
甘口と辛口のカレールーを混ぜて調整したり、後からスパイスで辛さを足したりします。これは、ビジネスにおける「顧客ニーズへの対応」や「カスタマイズ」に相当します。
このように、カレー作りという身近な例を通して、現状の把握と課題の設定がどのように活用されるのかを具体的に理解することができます。これは、ビジネスにおいても全く同じプロセスであり、目標達成のためには、まず現状を正確に把握し、課題を明確にすることが重要なのです。

美味しいカレーを作るための現状把握と課題の設定について理解できた!
実際に計画立案、対応の例は次回以降に説明するね!
まとめ
今回の記事では、ビジネスにおける成功の基盤となるポータブルスキルの中でも、特に重要な現状の把握と課題の設定に焦点を当て、その重要性と具体的な活用方法を解説しました。これらのスキルは、羅針盤と航路図のように、目標達成までの道筋を示す重要な役割を果たします。
ぜひ、今回の内容を振り返り、日々の業務や生活に活かしてみてください。